世界の警察を自負するアメリカの戦争がどのような犠牲の上に成立しているのかをこの映画は映し出している。
戦争の犠牲となった兵士達に対する丁寧なインタビューで現代の戦争がもたらす悲惨な状況をしっかりと描いた優れたドキュメンタリーだ。
だが素直なところどうにも合点が行かない。映画の内容ではなくアメリカという国だ。
アメリカ人は自分たちの国が延々と戦争を続けている事を知っている。戦争の悲惨さを表現した映画も山ほど作っている。戦争がもたらす悲劇については当然知っているはずだ。
その彼らがなぜ志願して戦場に行くのかどうしても理解出来ない。
彼らの多くは志願する理由が経済的問題だ。(大学卒業までのあと一年の学費を稼ぐためなど)
そして身も心も傷つき帰還してくる。だが兵士となる理由であった経済的問題は何ら解決されていない。軍隊で教え込まれる人殺しの技術は帰還しても何の役にも立たず、身も心もぼろぼろで、彼ら自身の状況は兵士になる前より悪化している。
だがあえて言いたい。君らは今まで延々と繰り返してきた戦争から何を学んでいるのだ?
ちょっとでもそこに考えを巡らせば決して志願などしないはずだし、本当に他に選択肢が無かったのか?殺人兵器以外の選択肢は必ずあったはずだ。
さらに最悪なのは彼らの親の世代だ。
兵士の母親は子供の頃から毎年撮影した写真を見せ、軍服を着た姿の写真を指差し『悲しい目をして別人のようだ』と平然と言う。
あなた方はそこまで戦争に無知なのか?なぜ志願するのを止めさせなかったのだ。
この映画を見るとアメリカという国に全く絶望的になる。
自分たちの過去には『見ざる、聴かざる、言わず』で、いざ負傷して帰国した後は平気で国の言っている事は嘘ばかりだとわめく。
当然の報いだと言いたい。
監督がこの映画を作るきっかけとなった『米兵とは何か』という疑問については自分なりの答えを見いだした気がする。
2008年8月28日(木):かでる2・7ホール
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