ドキュメンタリータッチにまとめたコンテイジョン

名優の演技が光るコンテイジョン
全編緊張感あふれる作品だ。さすが演技派俳優を揃えただけのことはある。
映画の内容からどうしても2009年4月から世界的に流行した新型インフルエンザを思い出してしまうが、この映画で描かれている世界は、実際の新型インフルエンザよりはるかに被害が大きい。
ちょっと調べてみると、本当の新型インフルエンザは、WHOの終息宣言後の発表で、全世界で1万8千人だった。この人数は普通のインフルエンザで亡くなる25〜50万人と比べると非常に少なく、WHOのから騒ぎとも言われた。ここのあたりは本作でもさりげなく触れられている。
そのためか、ワクチン製造では、WHOと製薬会社が結託して危機感をあおり、売り上げを伸ばしたのではないかとの疑惑も出た。
まあリアルな世界の話は結局たいした被害が出ず終息したが、映画の世界ではとんでもないことになっている。
発症すると48時間程度で死に至り、致死率は20%もある。もっとも、5人に4人は生き残る数字であるので、人類絶滅なんてなことにはならないので一安心だが。
この手の騒ぎで一番心配なのがパニックとデマだろう。
コンテイジョンもその例に漏れずそういうシーンが出てくる。
数が足りないばかりか、効き目もないレンギョウのエキス?を買うために暴動が起きてしまう。
この辺りが今までの伝染病映画にはなかった展開で、ジュード・ロウ扮するブロガーのデマがあっという間に世界に広まってしまう。もちろん、本人は特効薬の第一発見者のつもりだから、無自覚な犯罪者になってしまったことに反省もない。
似たようなデマは福島原発事故の際にもあった。中国でヨウ素入り塩の買い占めがあった。
また、危機情報管理の問題も描かれていた。
感染者が出たのでシカゴを隔離するが、ローレン・フィッシュバーン扮するCDCの博士が、自分の恋人を避難させるために隔離前にシカゴを脱出するように連絡したが、この恋人から情報が漏れてしまうのだ。
感染しているかもしれない人が隔離の前に全国に広まってしまう危険性があったのにだ。
個人的には、このことが原因でもっと悲惨な結果になった方が良かったのではないかとも思う。
本当にヤバい伝染病だったら、彼の行為は許されるものではない。
この辺りは本当にこんな事があったら自分は冷静でいられるか試される場面だ。
一般人で唯一冷静でいられたのが、ほぼ最初の犠牲者の夫であったマット・デイモンだ。
妻と息子を失い、残された娘をなんとしても感染させまいとする行動は賞賛に値する。
もし、守るべき人がいない場合、どのような行動をとるかはわからないが、おそらく、それでも冷静に行動するだろう事がわかる人物だ。
現実の世界では、豚との接触がないのにアイオワ州の子ども3人が新種の豚インフルエンザウイルスに感染したとCDCが発表した。
今回は大流行の兆しはなさそうであるが、用心にこした事はないだろう。
監督のスティーブン・ソダーバーグの作品は今回始めてみたが、なかなかすばらしい出来栄えだ。
派手なアクションがなく、淡々と描いていく。俳優陣もみな演技派でドキュメンタリータッチに仕上がっていて、作品に引き込まれていく。チャラチャラしたところを排してすばらしい作品になっている。
今後注目したい監督だ。
最後に、この映画を見るときは咳き込まない方がいいかも。
2011年11月25日(金)
札幌シネマフロンティアシアター1





コメント (1)
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