新世界を切り開いた劇場版機動戦士ガンダム00

ファーストコンタクトという新しい世界を切り開いたガンダムワールド
TVシリーズの機動戦士ガンダム00の劇場版であるが、機動戦士ガンダムF91以来となる完全オリジナルストーリーだ。
今までのオールドタイプ対ニュータイプという、いわば人間同士の闘いを期待していたファンには肩すかしを食うストーリーだ。そちらが好みなら、現在進行中の機動戦士ガンダムUCの方がおすすめだ。
もの言わぬ金属生命体のELS(エルス)とのファーストコンタクトを扱った点で、今回のガンダムは過去のガンダムシリーズとは全く別のものとなっており、TVシリーズからの延長的要素を排してSFっぽく脚本が作られていたら画期的な作品になったと思われる。
アニメでの表現とはいえ、ようやく人類が一つになりつつある世界で、人類そのものが変革を始めるというあたりがアーサー・C・クラークの『幼年期の終わり』を彷彿とさせるからだ。
さらに、『2010年宇宙の旅』のように、木星からそのきっかけが始まるというのもSFファンにはたまらない設定といえる。
ある意味この劇場版ガンダム00は、過去のガンダムシリーズが築き上げてきたガンダムワールドを終わらせてしまうほどの影響を与えるのではないかと思う。
ガンダムにわれわれが惹かれるのは、いつまでたっても人類は争いを続け、それを乗り越えるためには人類そのものが変わらないと無理ではないかと思わせる現代世界を描いているからだと思う。
我々は、領土問題、民族対立、宗教対立など、いかにも人間的対立により常に戦争を行ってきた。今の世界はこれらの問題を解決し、相互理解の上で和解するための方法はあり得ないのではないかという絶望感がすでに蔓延している。
もうオールドタイプは死に絶えて、ニュータイプのみの世界にその望みを託すしか無いと思えても仕方ない世界だ。
日本におけるそんな紛争をSFロボットアニメで描いたのが今までのガンダムの世界であり、絶大な人気を得ている訳も、現状に絶望した若い世代が『もしも次の時代がくるのなら』といった希望を抱かせるからだと思う。
その点、劇場版ガンダム00はその次の世界を描こうとしたところが画期的だ。
全く新しい世界を切り開いた今回の作品は、もうしばらく時間が経てばこれからの日本のアニメに大きな影響を与えるかもしれない。次はそんな作品をぜひ期待したい。
2010年9月22日(水):札幌シネマフロンティアシアター7





コメント (3)
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まったくそのとおりだと思います。「これはガンダムじゃない」とこの映画に否定的なガンダムファンが多いですが、進化のその先をついに描いたガンダムとして評価したいです。人類の未来形を問うのがガンダムであり、ただの戦争物語ではないことにもっと多くのガンダムファンは気づくべきですね。この映画は後に評価されると思いますが。
サイト: http://www.movie-my-sapporo.com/
kaiさん、コメントありがとうございます。
ガンダム00の世界はエネルギー問題が解決された世界です。
現在の紛争の原因となっているエネルギー問題が解決され、生活する事自体に困難さが無くなった世界で、むりやり紛争問題を作り上げるのには無理があり、その世界でガンダムの存在を描いているところが、この作品の進歩的なところだと思います。
SFでは何度も『地球幼年期の終わり』の映画化が出ていましたが、なかなか実現していません。そんな中で、結末は異なるものの、人類の次の段階を描いている点でガンダムは共通点があり、一足先に映画化された事は素晴らしいです。