アウトレイジ、タケシの欲求不満が噴出した作品

親分の命令に一途なヤクザが気の毒になってしまった。
北野武の久しぶりのバイオレンス映画だそうだ。
北野作品はほとんど見ていないので、興味を持ってみる事ができた。
とにかく出てくる全員が超極悪人で、ヤクザのめちゃくちゃな倫理観で問答無用の暴力が溢れ出てくる。
事のきっかけはちょっと小心者のヤクザの親分池元が、親子の杯を交わした本家山王会の会長に、自分が兄弟の杯を交わした村瀬組の仕事を注意された事から始まるが、金に汚い池元のちょっとした一言から、目的のためには手段を選ばないヤクザ同士の大抗争劇に発展してしまう。
もともと反論の許されない上意下達の世界で、曖昧な態度を取った池元が事の原因だが、配下のヤクザ、特にタケシが組長の大友組が割に合わない役目を押し付けられ、終いにはほぼ全員があの世行きとなってしまうところに、何とも言えない不条理を感じてしまう。
まじめに役割を果たした者が損をする(この世界では死を意味するが)極道の世界が強烈だ。
一連の抗争の結果、山王会は若頭が会長になる訳だが、それだけなら時間が解決したはずだ。
まあそれではバイオレンス映画にはならないが。
それにしても北野武はTVで「いろんな殺しの方法を試したかった」と言っていた通り、久しぶりにハードな殺戮シーンがてんこもりの作品だ。だが、このアウトレイジはただそれだけのような気がする。ヤクザのシマの奪い合いから発展した抗争劇だが、深みが無い。
ヤクザの世界は、真実はどうあれ、日本ではそれなりにどのようなものか理解されているので、国内ではさほど評判にはならない作品だと思う。たぶん、海外ではもっと評判は良いだろう。
どうもタケシ自身が欲求不満をぶちまけた作品なのではないだろうか。
一つだけ、普段見慣れた役者が全員極悪人の役回りを演じ、見応えのある作品になった事だけは確かだ。
2010年6月23日(水):札幌シネマフロンティアシアター6




