公開のタイミングを逸した、グリーン・ゾーン

イラク戦争の原因を鋭く指摘した作品
イラク戦争の開戦原因となった、大量破壊兵器の存在がウソであったことは今では明らかであるが、開戦前は何度も大量破壊兵器の存在する証拠なるものがTVで放送されていた。
映画グリーン・ゾーンは時期的にブッシュ大統領が大規模戦闘の終結を宣言し、いよいよ問題の大量破壊兵器を探しにいく部隊を描いている。
しかし、あるはずのないものを探しても見つかる訳がないのは明らかだ。
主演のマット・デイモンはこの部隊を率いる隊長役で、しだいに上層部から降りてくる情報の信憑性を疑い、限られた権限の中独自に調査するところがよく描かれていると思う。
イラク戦争の公式な終結時期は明確になっていないが、ブッシュ大統領が大規模戦闘の終了を宣言したのは2003年5月1日である。
それから7年を過ぎてもイラクには平和は訪れていない。
この戦争はアメリカという国を一度も攻撃したことがないイラクが、ありもしない大量破壊兵器を保持しているという濡れ衣を一方的に着せられ、安保理の議決がなされないままアメリカを中心とした有志連合が一方的にしかけた戦争だ。
その結果イランの国土は焦土と化し、ある意味フセインの強権で押さえつけられていた民族意識が表面化し、不毛の内戦状態となってしまった。
アメリカは当初の開戦目的である大量破壊兵器を発見できなかったばかりが、関連性のない9.11テロとイランを結びつけ、人権を無視し容疑者をでっち上げアブグレイブ収容所に収監して、新たにテロリストを育ててしまった。
この全く不毛な戦争の原因がでっち上げであった事を主題にしたグリーン・ゾーンは着目点としては非常にいいと思う。
数あるイラク戦争を扱った作品の中でも最も重要な位置を占める作品だと思う。
しかし、公開時期が遅すぎた感がある。
現在アメリカはアフガンに注力しており、早くもイラク戦争の記憶は薄れてきてしまった。アフガンを第二のイラクにしないためにもう少し早く公開されていれば良かったともう。
2010年5月26日(水):札幌シネマフロンティアシアター4




