第9地区、いろいろ疑問も残るが傑作だ

久しぶりのエイリアンものの傑作作品
ドキュメンタリータッチで描かれており、クローバーフィールドに通じる作品だ。
Wikiによると、最初の1週間で3735万4308ドルを稼いだそうで、制作費3000万ドルはすぐに回収できた作品だ。
なかなか見る機会のない南アフリカの作品だが、監督も役者もほとんど無名で、ロケーションと相まって非常に新鮮に見ることができた。
登場するエイリアンを『エビ』と称していたが、あれは日本人的には羽のないゴキブリに見えてしまうところがインパクトがある。しかも、そのほとんどが決して文化的とはいえない生活レベルだ。
住んでいるところなどはヨハネスブルグのスラム街だ。おそらくあのシーンはヨハネスブルグのスラム街の現実の姿であろう。エイリアンを現地の貧困層に見立ててしまうとパンフレットのコピー通りに非常に政治的映画に見えてくる。
ただ、エイリアンのあまりの異形ぶりに圧倒されて、そこまで頭が回らずにぐいぐいと画面に引きずり込まれてしまった。
人類より遥かに進んだテクノロジーを持っているはずなのに、全く自尊心がないエイリアンという設定が斬新だったが、物語が進むにつれて全く異なる振る舞いをするごく一部のエイリアンがいることがわかる。
そこのところがこの映画を理解する上で一番大事なところだと思うが、なぜか十分に説明されずまま映画は進んでいく。
また、彼らのテクノロジーは非常に高度で、武器の破壊力など比較にならないほど強力だがDNAが合わないと作動しない。なぜそのような武器が宇宙船の外に出回ってしまったのかも明らかなっていない。
要するに肝心なところが何もわからない映画なのだ。この辺りはクローバーフィールドも同じだ。
結局あの宇宙船はどうしてヨハネスブルグの上空にきたのか、また、なぜ急に移動することができたのか、そもそもエイリアンは本当に最初からあの姿だったのか、など疑問点がたくさん残る映画だ。
勝手な想像だが、最初からあの姿の本当のエイリアンは2名だけで、残りは謎の液体を浴びて変身してしまったのではないか、また、あの宇宙船はエイリアンを乗せていたのではなく、エイリアン化した異星人を母星へ運搬する途中に地球に寄っただけではなかったのではないだろうか。
そんないろいろな想像をしてしまう作品であるが、久しぶりに見た傑作SF作品だと思う。
2010年4月19日(月)ユナイテッド・シネマ札幌スクリーン10




