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ブートキャンプの実態を描いたONE SHOT ONE KILL

One Shot One Kill
海兵隊に志願する若者はこの実態を知らないのだろうか。

藤本幸久監督作品は『アメリカばんざい』に続いてこれで2作目だ。
今回の『ONE SHOT ONE KILL』は海兵隊の新兵受け入れ施設、いわゆるブートキャンプのドキュメンタリーだ。

若者がなぜ海兵隊へ志願するのかは藤本監督がこちらで語っている。
私自身が感じた事は『アメリカばんざい』のエントリーに書いた。
しかし、どうしても理解できないことがある。
アメリカの若者は本当にブートキャンプでの訓練や、その後派遣されるであろう戦地(今後は多くがアフガニスタン)での戦闘の実態を知らないのであろうか?あるいは知ってて入隊するのだろうか。
なぜ彼らは無邪気にも入隊のきっかけは学費を稼ぐためとか、キャリアのためとかと言うのか。
今回の映画を見てもこの疑問は解けなかった。藤本監督の見方をすれば、これはもうアメリカの社会に組み込まれた一つのシステムで、お金のない家庭の子供は、そうでない家庭の子供が大学に行くのと同じように、海兵隊へ入るのが普通のことになっていて、あえて疑問を差し挟むような事ではないのかもしれない。

映画で取り上げられた新兵訓練所には毎週500〜700人が入隊する。一つの高校の卒業生以上の人数が入隊する勘定だ。
そこでの訓練は一度個人を完全に否定し、それから再構築するように見える。ただし、様々な意見や多様な考え方をもつ人間としてではなく、上官の命令には無条件で従う事を疑問に思わない良き海兵隊員としてだ。
これは訓練所の教官にとっては容易な事であるようにみえる。
なにせ10代の世間知らずの若者を、全く隙なく軍服を着た大人が顔を突き合わせて罵倒し続けるのだ。やられた本人はあっという間に萎縮し、それまでの10数年間で築き上げた自尊心などは瞬時に心の隅っこに追いやられてしまう。
あとは言葉の暴力でいじめ抜き、思うがままに操るだけだ。
そのようにして作り上げた偽りの人格の軍隊が戦地に行くとどうなるかはすでに結論が出ている。イラクでは4千人以上が戦死し、帰還兵でPTSDになってしまうのは3分の1にものぼる。

映画は入隊から卒業までをほとんど解説なしに映す。もちろんBGMなどは無い。あるのは射撃音や、行進のときの歌、上官の罵声、そして新兵のYes,Sir!だけだ。
自国の自衛隊の訓練さえほとんど知ることができないのに、アメリカの海兵隊の訓練をそこまで撮ることができたのが驚きだ。それだけアメリカは訓練にやましいところなどなく、自信を持っているという事なのだろうか。恐ろしくなる。
訓練はまるで規格品を作るように個人の差異を排除し、徹底的に均一化した兵士を作り上げるのが目的だ。
そこは自由の国アメリカという良い意味での個人主義の集合とは全く正反対の世界だ。
そうした彼らに戦場で敵を殺せるか?と問うと、直ちに海兵隊の訓練を信ずると答える。
まるで、ジョー・ホールドマンのSF小説終りなき戦いでの超エリート兵士が、訓練中に密かに施された催眠術により命令一下殺戮の限りを尽くす(一部の兵士は発狂してしまう)くだりを思い起こさす。

藤本監督は今回の『ONE SHOT ONE KILL』、『アメリカばんざい』、『アメリカー戦争する国の人びと』をアメリカ3部作として発表した。
最後の『アメリカー戦争する国の人びと』は8時間に渡る長編で、多分劇場で見る事は出来ないかもしれないが、この3部作を通じてアメリカの軍隊がどのように作られ、戦地で消耗した後どうなるかを描き切ったと思う。
藤本監督は挨拶などでは事実を述べるだけで、主義主張的発言は何もしない。映画を見て各人で判断せよと言うスタンスだ。
自衛隊のアフガン派遣がまことしやかにささやかれているが、戦争行為そのものもしっかりと見つめ続けなければいけないが、実際にその戦争を行う兵士、それまではごく普通の若者がいかにしてねじ曲げられていくかを知らなければならないと思う。
その材料としてこの映画はすばらしい教材になると思う。
平和な日本にいるからこそ見るべき作品と感じた。

2009年12月15日(火):札幌エルプラザホール

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コメント (1)

投稿者:日本インターネット映画大賞さん コメント時刻:2009年12月19日 15:29
サイト: http://www.movieawards.jp/

突然で申しわけありません。
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