邦題が誤解を招く作品、宇宙へ

原題はRocket Men、だったら納得
この映画の邦題『宇宙へ』(そらへと読ませるところが余計だ)は、残念ながらこの映画の本質をついていないように感じた。
映画の内容としては、BBCがNASAの宇宙開発のうち、有人飛行(猿の映像もあったが)の歴史をまとめたドキュメンタリーだ。
これが原題通りの『Rocket Men』であったなら納得の作品だ。
だが、あえて日本人好みの詩的な響きをともなう『宇宙へ』とした事が、この映画の見方を誤らせてしまった。
私は、この映画は宇宙開発においてどうしても必要になるロケットに関するドキュメンタリーと感じた。
当然最初から発射が成功するはずもなく、当初はロシアンルーレット並の確立で失敗する。
だが、人類が地球の重力圏を抜けて宇宙に乗り出すためにはロケットがなければ出来ない。
この映画はそのロケットの失敗例も正面から映し出す。
アポロ1号の地上での火災、スペースシャトル、チャレンジャーの爆発、コロンビアの空中分解などを劇場のスクリーンで見た時、あらためて巨大複合技術のもろさを垣間見る。
それはまた、人間にとっていかに宇宙へ行く事が危険を伴う事であるか再認識させられる場面だ。
酸素100%の中で火災が発生したらどうなるかは中学生でも判るだろう。だが、実際にそれが起きるまでNASAはその事に考えが及ばなかった。
技術者がマイナスの気温下ではシーリングゴムの弾性が失われ、燃料漏れを引き起こす事を再三警告したのに、NASAはスケジュールとほんの少しのエンターティメント性を優先して発射を強行した。
発射時に耐熱パネルに何らかの損傷を受けた事が疑われながら、船外活動で確認する事も、万一修復不可能な場合、別のシャトルで救出する計画もNASAは考慮しなかった。
だから、この映画の『Rocket Men』と言う原題はそれなりに意味を持っていたと思う。
危険を承知で宇宙へ行くのだ。詩的な響きを持つ『宇宙へ』などと言う言葉ではこの映画の題名としてはふさわしくない。
確かに宇宙は美しく、人類にとって挑戦のしがいのあるフロンティアだろう。だが、この映画は別の事を伝えようとしていると思う。
映画の終わり近くのレーガン大統領の言葉がこの映画の本質を表していると思う。
フロンティアに踏み出すには、常に危険が伴うのだ。
そう考えれば、エンディングに流れるゴスペラーズの唄もどうも的外れに聞こえる。
誤った邦題で、映画の方向性を見誤らせた典型と言えるだろう。
2009年8月31日(月):ユナイテッド・シネマ札幌スクリーン5





コメント (1)
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はじめまして。
TBどうもです。
こちらも貼らせていただきました。