消されたヘッドライン

ラッセル・クロウはアクションよりこういった役がよいかも。
最後にどんでん返しがあるが、それまでの間、アクションに頼らず、訳者の演技力でぐいぐいと見る者を引っぱっていく。最後まで気を抜けない映画だ。
どうもラッセル・クロウはアクションものより、こういった作品の方が向いているのではないだろうか。しっかりと貫禄がつき、存在感抜群だ。
アメリカン・ギャングスターの刑事役(ちょっと太り気味が気になった)より、デスクワークの記者の方が似合っている。
前作のワールド・オブ・ライズも、自身は表に出ず、裏で策を巡らすタイプを良く演じていたと思う。
脇役のベン・アフレックは自分にとってはトータル・フィアーズのジャック・ライアン以来で、若さで突っ走る役から、しっかりと議員という渋い役をこなすようになり、なんだか嬉しくなった。
ストーリーはイラク戦争ですっかり有名になった、民間軍事企業の陰謀を暴くという設定で進んでいくが、設定が設定だけに非常にリアル感があり、じわじわと核心部分に迫っていく様子が緊張感を保ちつつ描かれている。
映画では巨大民間軍事企業が、海外の軍事案件だけではなく、国内の警察、軍にも手を出そうとしている設定だが、この企業はどう見てもイラク戦争で有名になったブラックウォーターを連想させる。
民間軍事企業などは日本では考えられないが、アメリカではすっかり認知されている。その辺りもこの映画にリアリティーを与えているところだろう。
監督のケヴィン・マクドナルドはドキュメンタリーを主にとっている監督だが、アメリカの民間軍事企業の危険な側面を実に良く表現している。もしかしたら本当にこの映画のようになっているかもしれない(もうなっているかも)という危機感を見ているものに感じさせる。
ケヴィン・マクドナルドの他の作品はラストキング・オブ・スコットランド、運命を分けたザイル
などいずれもリアリティあふれる作品だ。
原作は2003年からBBCで放送されたドラマ「ステート・オブ・プレイ〜陰謀の構図〜」らしいが、なかなかの評判のようだ。残念ながらNHKで放送されたのは見逃してしまった。
NHKオンデマンドはMacでは見れないのが残念だ。
2009年6月1日(月):ユナイテッド・シネマ札幌スクリーン10




