ナチスにとっても後ろめたいベルンハルト作戦
この国を挙げての贋札作りは指揮官の名前を取りベルンハルト作戦と呼ばれたが、この作戦に優良民族たるゲルマン民族を作業させなかったほど、この作戦はナチスにとっても相当に後ろめたいものだったのだろう。
いくら強制収容所で死と隣り合わせの生活を送っているユダヤ人でもサポタージュの可能性はあるわけだし、自国の勝利のための作戦ならば多少の罪悪感をおぼえてもドイツ人は従うだろう。そうまでしてもユダヤ人に作らせたのは証拠隠滅のため、最後には殺してしまう算段だったからと考えられる。
そう考えると終戦の間際にドイツ軍が作戦に従事したユダヤ人の殺害より、印刷機器を優先して処分したことはアドルフ・ブルガー氏らにとってとんでもない幸運だった。
もしドルが偽造されていたら・・・
それにしてもこのベルンハルト作戦だが、約1年間の内に当時の全流通ポンドの約10%にあたる1億3200万ポンドを作ってしまったというから驚きである。
ポンドの次のターゲットはドルだったらしいが、これが万一ポンド並みに流通してしまったら第二次大戦で莫大な戦費を出費していたアメリカに相当のダメージを与えたに違いない。
クリント・イーストウッド監督の父親たちの星条旗にあるように、アメリカはヒーローを祭り上げてでも寄付(国債)を募らないといけないほど戦費不足に陥っていたからだ。
時期的に考えると硫黄島での戦いが終わったのは公式には1945年3月26日とされているので、父親たちの星条旗のように偽りのヒーロー達がアメリカ本土で国債を購入するように活動していた時期より前に偽ドルが大量に出回っていたら大問題となっていた可能性がある。
そう思うと映画のエンドロールに出てくる言葉はまさにアドルフ・ブルガー氏らの命を賭けたサポタージュの結果といえるのではないだろうか。




