何とも重苦しいノーカントリー

原題は『No Country for Old Men』(邦訳:老人の住む国にあらず)で何とも殺伐として重苦しい映画である。
殺し屋アントン・シガーは映画のチラシによるとハンニバル・レクター以来映画史上最悪の死の運び屋
と紹介されているが、ハンニバルとは背景が全く異なっており、ノーカントリーには美的な所や、修飾的な所はみじんも出てこない。老人には心休まらない救いようの無い殺伐としたシーンが続く。
原作はコーマック・マッカーシーの血と暴力の国 (扶桑社ミステリー マ 27-1)
である。
DVDはノーカントリー スペシャル・コレクターズ・エディションである。
2008年4月30日、札幌劇場
殺伐とした映像の奥にあるもの
このノーカントリーのような小説と映画を生み出す1980年代のアメリカはいったい何があったのだろうか。あまりにも殺伐として救いようが無い。
猟の途中、偶然にも失敗した麻薬取引の現場を知ることになったルウェリン・モス(ジョシュ・ブローリン)がとった行動にもそれは現れている。周りを警戒し慎重に近づくが、それはどこかにあるはずの大金が目当ての行動だ。大金があれば最初から警察に通報する事もせず、くすねて逃げ回るような時代、それが1980年代のアメリカの世界だったのだろうか。
映画としてはとっても良くできていると思う。
目的のためには雇い主を殺す事もためらわない独自の思考で行動する殺し屋シガー。長年警察官をやっているが、突然起きたシガー(ハビエル・バルデム)の起こした連続殺人で疲れてしまい警官を辞めるエド・トム・ベル(トミー・リー・ジョーンズ)、もうちょっとでシガーから逃げられたかもしれないのにビールの誘惑に負けて殺されたモス(ジョシュ・ブローリン)など、俳優陣もすばらしい演技だと思う。
しかし、第80回アカデミー賞で最多の4部門を受賞したにもかかわらず、見た後に残る後味の悪さというか切れ味の悪さはどういう訳だろうか。過ぎ去ってしまった1980年代のアメリカの事は調べればいろいろな事がわかるが、ベトナム戦争終了後(1975年)のアメリカ世相は一つの時代が終わり新たな時代へと替わりつつあるあった時代で相当に揺れ動いていたと思う。
ベトナム戦争の前後で決定的なジェネレーションギャップができてしまったのかもしれない。それを考えると原題の『No Country for Old Men』(邦訳:老人の住む国にあらず)の意味が何となく分かるような気がする。
エンディングが近くなってきた頃の警察官ベルと別の老警察官の会話にそれが凝縮されている。





コメント (1)
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はじめまして!
TBありがとうございました!
私の日記はTBさせて頂く程ではないので(笑)、コメントを残させていただきます☆
ホントの切れ味の悪い映画で、あの後シガーはどうなったのか。。とか疑問がたくさんあります(笑)
もう一度見てトミー・リー・ジョーンズのセリフを聴きなおしたい気分です。