ハンニバル・ライジング
「ハンニバル・ライジング」はトマス・ハリスのハンニバルシリーズ最新作である。
トマス・ハリス自身の脚本により2007年GWに公開される映画「ハンニバル・ライジング」の原作である。
最新作であるが、時系列でみるとハンニバル・レクターが幼少の頃から成人になるまでの過程を描いているので、ハンニバルシリーズの最初の第一巻ともいえる。
2007年4月1日、新潮文庫より発売。
上巻:ISBN978-4-10-216706-9、下巻:ISBN978-4-10-216707-6
(この後ネタばれあり、ご注意)
聡明な少年はいかにして怪物となったか
「ハンニバル・ライジング」はハンニバル・レクターが8才の頃からアメリカでインターンとして生活を始めた20歳頃までを描いている。
ハンニバルシリーズの「レッド・ドラゴン」、「羊たちの沈黙」では直接的にハンニバルに触れている部分は少なかったが、本書では聡明な少年から20歳までに9人もの殺人を犯す経緯が書かれている。
読み終わって少なからず疑問を持つのは、ハンニバルが人間性をすてて「怪物」になったのは13歳の時の最初の殺人を見抜いたポピール警視が述べているように第二次大戦末期に妹のミーシャを始め家族すべてを失ったのが原因なのであろうかということである。
確かにミーシャの件が引き金となったことは間違いないであろうが、それはハンニバルから一時的に言語能力を奪っただけではないだろうか?
ハンニバルは第二次大戦後叔父のロベール・レクター伯に引き取られ、フランスで生活を始めるが、いみじくもロベール・レクターが言葉を発しないレクターに対して「われわれの家系は、普通人のそれとはいささか異なるのだ、ハンニバル。われわれは幼児のうちにそれを知る。お前ももう気づいているだろう。」と話しているようにレクター一族の血筋、今でいうところのDNAにより先天的に受け継いだものではないだろうか。
ハンニバルの父親も飛び抜けて強い好奇心の持ち主で、2歳の頃から文字が読める息子について自分の好奇心に誘われるまま高度な教育を与えていたし、叔父のロベールもフランスの大画家である。
ある意味レクター一族は特別な能力を持っているといえる。
ハンニバルの場合は元々持ち合わせたその能力が、平和な時代に教育により時間をかけて正常な方向へ発達すべきところを一家を失ったことにより一気に悪魔的方向に開花させられたことが原因ではないだろうか。
映画ハンニバル・ライジングが待ち遠しい
映画の「ハンニバル・ライジング」はアメリカでは昨年に公開されており、日本での公開も間近に迫っており大変待ち遠しい。実は管理人NAOは大のハンニバルファンで、前作「ハンニバル」は劇場で3回も見てしまった。もちろんDVD、本ともすべてのシリーズが揃っている。
本は読んだのでストーリーはすでにわかっているが、今回作者のトマス・ハリス自身が脚本を書いているので、原作を作者自身がどのように脚本にまとめたか大変興味がわく。
はたしてハンニバルの続編はあるのか?
トマス・ハリスは1975年に作家デビューしているが、その間に出版したのはハンニバルシリーズ以外にはわずか一冊という寡作である。前作の「ハンニバル」では本と映画では内容が大幅に異なっており、特に映画のエンディングは大いに話題になった。
「ハンニバル・ライジング」ではハンニバルの日本との関わりも書かれているので、物語の続きとしては映画「ハンニバル」の続編として日本が舞台となる可能性もなきにしもあらずである。
トマス・ハリスのペースから想像すると「ハンニバル」の続編がでるとしても相当な未来になると思われるが、ぜひとも映画「ハンニバル」のその後を見たいものである。




